NTi Audio NoiseScout無人騒音監視システム- 時間帯別基準対応

NoiseScout無人騒音監視システム- 時間帯別基準対応

NoiseScoutは、環境測定用の騒音監視システムです。XL2サウンドレベルメータは、24時間続けて騒音レベルを記録します。また、測定値はウェブ上でリアルタイムにグラフで確認でき、ダウンロードも可能です。規制基準値を超える場合は、アラートメールを自動的に送信します。最新バージョンのNoiseScoutでは、昼間と夜間で基準値を個々に設定できるようになりました。

NoiseScoutは、数時間の無人測定だけでなく数ヶ月の長期にわたる警報状態の監視にも対応します。XL2はサウンドレベルデータを測定現場で保存し、NoiseScoutサーバーへ自動で送信します。ウェブブラウザには測定値がグラフィカルに表示されます。測定場所で規制基準値を超えた場合、自動化されたemailにより知ることができます。これにより1日24時間、週7日を完璧に監視できます。

時間帯ごとの基準値設定
最新バージョンのNoiseScoutでは、個別の時間帯に合せた基準値設定が可能です。複合的にレベルを監視するため、基準値と予備警告レベルを個々に設定できます。例えば住宅地における最大許容騒音レベルを昼間は50 dB、夜間は35 dBに設定することができます。同様に予備警報レベルを昼間は47 dB、夜間は32 dBに設定できます。この予備警報レベルに達すると、emailを自動的に受け取り、適用されるガイドラインを破る前に回避行動をとることができます。監視時間は5, 10, 15, 20, 30 ,60分、または一日中、夜間といった期間で設定できます。

予備警告アラーム
NoiseScoutの更なる機能として、例えば各時間帯で規制基準値が最大50 dBに設定されている場合、NoiseScoutはこれらの時間帯で5分毎にレベルを測定することもできます。これにより、指定の時間帯終了時に規制値を超える状態を防ぐため、事前に迅速な対策を講じることができます。

NoiseScoutの優れた操作性
NoiseScoutは騒音規制の遵守に役立ちます。その一方で、素早く簡単な操作性を実現しています。記録されたデータはウェブサイトから転送でき、オプションのXL2データエクスプローラ・ソフトウェアを使用した解析と報告書作成も可能です。

NoiseScoutは、XL2サウンドレベルメータ、モバイルデータモデム、NetBoxで構成されています。オンラインデータサービスとして、利用毎課金のクレジット制度が提供されています。また、利用上限を任意に設定できるサービスも新たにスタートしました。

FFTの基礎と音響・振動測定への応用

Part 1 :基礎編

FFT(Fast Fourier Transformation)高速フーリエ変換は、音響・振動測定分野において重要な解析手法です。FFTを使うことにより、ある信号をいくつかの周波数成分に分解し、それらの大きさをスペクトルとして表すことできます。用途として、機器や機械の異常の検出、品質管理、振動観測などがあります。ここでは、FFTの基本的な考え方と選択されたパラメータが測定結果にどのように反映されているかを説明します。

FFTとは、DFT(Discrete Fourier Transformation)離散フーリエ変換を求めるための最適化されたアルゴリズムと言うことができます。解析する信号波形を一定の時間で切り取り、この波形を周波数成分に分割して表します。これら離散的な周波数成分は、振幅と位相の異なる単純な正弦波です。一例を下の図に示します。測定された時間波形には三つの単純な周波数が含まれています。

信号処理の流れ
第一に、一定時間の信号波形がスキャンされ、後の計算処理のためにメモリに保存されます。ここで関連する二つのパラメータがあります。

  1. 測定システムのサンプリングレート、またはサンプリング周波数fs(例えば48 kHz)は、1秒間のサンプル数を表します。
  2. ブロックサイズBL(選択されたサンプリング点数)は 、FFTにおいて常に低2の整数乗となります。(例えば 2^10 = 1024サンプル)

これら二つの 基本的なパラメータfsとBLから、様々なパラメータが算出されます。

周波数レンジfn (= ナイキスト周波数): FFTで測定できる理論上の最大周波数を表します。
fn = fs / 2

例えば48 kHzのサンプリングレートでは、理論上24 kHzまで測定できます。アナログ信号解析の場合、実際の値はアナログフィルタ(例えば20 kHz)の影響により理論値以下になります。
時間窓長D:時間窓長はサンプリングレートfsとBLにより算出されます。

D = BL / fs.

例えば、fs = 48 kHz、BL = 1024の場合、1024/48000 Hz = 21.33 msとなります。
周波数分解能df:周波数分解能は2つの測定値間の周波数間隔を表します。

df = fs / BL
例えば、fs = 48 kHz 、BL = 1024の場合、48000 Hz / 1024 = 46.88 Hzとなります。

サンプリング周波数fsは、通常、測定システムにより与えられる値です。一方、時間窓長と周波数分解能はブロックサイズBLを選択することにより算出され、次のことがあてはまります。

  • ブロックサイズが小さい場合、低い周波数分解能で速い繰り返し測定になります。
  • ブロックサイズが大きい場合、高い周波数分解能でゆるやかな繰り返し測定になります。

ブロックサイズ小(左)と大(右)のFFT画面リーケージの問題
フーリエ変換では、切り取られた信号波形が無限の期間で周期的に繰り返されていると仮定しています。これにより二つの結論が導かれます。

  1. FFTは周期的な信号にのみ適している。
  2. 切り取られた信号波形は、全ての周期を含んでいる必要がある。

2.の結論から言えることは、適用できる信号がほとんどないということです。信号のサンプリング時間長に含まれる周波数が周波数分解能dfの整数倍とは限らず、2のn乗サンプルのブロックサイズで開始、終了しないこともあります。下図では、時間信号が周期の途中で終了し、正弦波であってもFFTスペクトルが大きく広がっています。(リーケージとも言います。)

周期性が成立しない時間信号と大きく広がったスペクトル

ウィンドウイング
このリーケージの発生を抑制するため、信号サンプルにウィンドウイングが適用されます。(窓関数をかける。)重み付け関数を適用することで、信号サンプルのオンとオフがある程度ゆるやかになります。その結果、窓関数のかけられた信号は、開始と終了の振幅が0になります。そして、サンプルは極端な過渡的変化を持たずに周期的に繰り返されます。

波形例
信号処理理論の典型例が矩形波のスペクトル構成です。矩形波は基本周波数の重み付けされた奇数倍周波数の総計で構成されています。

Formula Square Wave 次の動画は、一つの正弦波から500 Hzの矩形波が合成されていく様子を映し出しています。

NTi AudioのFFTアナライザについて
ハンドヘルド型XL2オーディオ&アコースティックアナライザは、20 kHzまでの信号を素早く簡単にFFT解析する際に最適です。もう一つのマルチチャンネルに対応する最新のFX100オーディオアナライザは、周波数レンジが広く、高速信号処理が可能です。そのため、より詳細な解析と計算に適しています。FX100は、より大きなメモリを内蔵することでさらに大きなブロックサイズを処理でき、周波数分解能にも優れます。FX100付属のFX-Control PCソフトウェアは、FFTアナライザを素早く直観的に操作することを可能とし、必要とされる測定値をビジュアル化します。

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